響け、空に―

はぁっと私はため息をついて、教室から出ていった。
トイレに向かう。


「あっ…高木さんだ。」
小声で話しているのが耳に飛び込んでくる。

「あの人って笑わないよね。」


「ねー。『笑う美しい子』って書くのにさ。

名前とは反対の性格になるって本当なんだね。

だって高木さん、笑わないし…」


「確かにな!!あいつと孝が仲良いっていうのが信じられん。」

『孝』という名前を聞いて私は立ち止まった。

『孝』とは『若森孝』のことだ。
最近ずっと学校に来ていない。

孝は誰とでも仲良くなれていた。


よく笑うし、面白い。人気者だ。