「あら、早いわね。起きてたの。」

味噌汁をすするのを止めた母が私の方を見て言った。

「はい。着替えてました。」


母の方を見ないようにしながら箸を手に取って食べ始めた。

「ったく…本当あんたって無愛想よね〜。誰に似たんだか…」


ぶつぶつ言う母を横目に、どんどんご飯を食べていく。



早く出たい、こんな家。


「聞いてんの!?」

少しヒステリーをおこした母を、今までコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた父がたしなめる。

「まぁまぁ、まだ寝ぼけてるんじゃないのか?」


「でもあなた…」

よくもまあ、形だけの夫婦なのに『あなた』なんて呼べたものだ。