響け、空に―

私はイスから立ち上がって
「トイレ行ってくる」


と言った。


「おう!!下だぞ!!」


「わかってるよ」

どうしよう、少し声が震えてしまった。

下に降りて美咲さんに「お手洗い、お借りしますね」と告げて入った。


入った途端に涙が溢れてきた。

リビングにいる美咲さんに聞こえないよう、手で口をおさえながら、泣いた。


《何で孝は何も言ってくれないの?一人で抱えるには重すぎる問題なのに……

私は頼りないのかな?》


そんな考えばかりが頭の中を何回もよぎる。