響け、空に―

孝といえば…


パッと時計を見ると、もう五時半だった。

「ヤバい!!ごめんね!!今日、人と会うから帰るね!!」

急いで教科書をカバンに詰めて、チャックを閉じる。

「あっそうなの?てか誰と会うの!?」

答えようと思ったが、今はこの小さなやりとりをする時間さえ、じれったく思う。


「ごめん!!明日詳しく話すから!!本当にごめんね!!それじゃあ!!」

教室の扉を思いっきり開けて、走っていく。


「急げ!!急げ!!」

自分にそう言い聞かせながら駅まで走った。

電車に飛び乗ってからも、
「もっと早く走ってよ〜!!」
と、気持ちだけが先走っていた。