響け、空に―


『考…今年も来たぞ。高木もいる。

高木は最近有名になって忙しいみたいだけど、ちゃんと今日は休んだんだって。それに有名人だから週刊誌に撮られる…なんてこと無くて、変なうわさも一切聞かない。

安心しろ。高木は……やっぱりお前のもの…なのかな。

でも、俺は心の片隅で俺と考、二人のものだと思ってるんだ。そんな俺をお前は許してくれるか?
笑って許してくれよ。

いつかは、この気持ちを…ちゃんと捨てるから。』


ゆっくりと目を開けて、立ち上がると高木は何かを読んでいた。

考からの、手紙だ。


「入江君、これ…あなたに」


「え?」

考の母親の手の中にあるのはメモだった。
受け取って広げて見ると

『伸へ』と書いてある。

考の字だった。


《なんだよ、高木にはちゃんとした手紙で、俺にはメモかよ》

内心あきれながらも読み進めて行く。