響け、空に―


次の日の朝、決断通りに朝早く学校に来た。

教室に入ると高木がいた。

「おはよー」

…え?高木が俺に挨拶してくれた?
周囲をキョロキョロ見回しても、当然俺と高木以外に人はいなかった。


「入江君?おはようって言ってるんだけど…」


「あっ‼ああ‼おはよう高木‼」

やばい。声が裏返ったかも…

「声大きい…」
高木は迷惑そうに顔をしかめた。

「あ‼ごめん…。いや、ちょっと…何ていうか…感動して…」


「感動?私だってあいさつくらいするけど」

高木はしたを向いているので顔を覗けない。

「いや、分かってるけどさ、まさか俺にしてくれるとは…

前の席いい?」

高木に少しでも近づきたい。その一心で発した言葉だ。幸い、許可が出た。


「じゃ、おじゃましまーす‼」

俺のキャラが変わっている。

この後は何を話したのか覚えていない。

ただ、想いが昂ぶって昂ぶって…告白したのは覚えている。

告白した後、高木の顔はどんどん赤くなっていって…


その時、考が入ってきた。さすがに考の前で返事をさせるような男ではないので「返事はいつでもいいから。」と耳打ちして教室を出た。


その日から、返事を聞くまでの間は気が気じゃなかった。

高木と目を合わせたり、プリントの下で手を握ったり…少しでも俺に心が傾いてほしかった。けど…


「……ごめんなさい」

下にうつむく高木