《可愛い笑い声だな…
…俺は高木の事諦められんのか?入学してからずっと好きだったんだぞ?…考なんかに譲れるか‼》
考に高木は譲らない。
そう決心したものの、初日から心が折れそうになった。
なぜなら、一時間目が終了した後の休み時間からずっと二人は帰ってこなかったのだ。
二人が今、どこで何をしているのか気になりながらも、かばんを持って部活に行こうとした俺を数人の女子が囲んだ。
俺は少したじろぎながらも
「な、何だよ」
「伸…好きな人いるんだってねえ?」
一人がにやりと笑う。このパターンは…
「いや、あの、その…」
「教えてーーー‼」
「うおっ!?」
女子たちのわずかな隙間を見つけて、逃げ出したものの追いかけてくる。
「伸ー‼お願いってば‼」
「やだ‼」
なんとか女子達をまいて、学校を出た。
部活はさぼりだ。
「明日から…この追いかっけこは続くんだろうな…
早めに学校来て隠れてるかぁ…」
俺はこの時知らなかったんだ。この決断が運命の分かれ道だったなんて…。



