響け、空に―


高木はばたばたと荷物を持ち、出て行ってしまった。

「あ、伸‼」


今まで高木を囲んでた子達が俺の存在に気づく。


「どうしたの?」


「いや、スパイク忘れちゃって…。


高木があんなに急いでるの見たことないよな。」


「ん?

あっ、そう言われればそうかも。もしかして、彼氏に会うんじゃないの?」


『彼氏』。

この一言が頭の中で響く。


《あんなに可愛いんだもんな…。彼氏がいても、おかしくは…ない。》

こんなことを考えていたから、ついあの質問に答えてしまったんだろう。


「ところで…伸は好きな人とかいる?」


「いるよ。」


いつもなら、「ん~、どうだろ?」とか言ってはぐらかしてたのに…


「え‼誰‼」


「…え?俺いま…なんて言ってた?」