ううん。人違いじゃない。


切れ長の目。きれいに鼻筋が通った鼻に薄い唇。


この人を私が忘れるはずないじゃない。


「私。実紅。覚えてない?」

必死に聞いた。

「ごめんなさい。分からないです・・・。」


「そっか。どこ住んでるの?」


「ここ」
と男が指差した方は病院だった。


「何で・・・病院・・・?」

「分からないんです・・・。」