『ただいまー…。』


玄関の扉を開けば夕食の匂い。どうやら今日は、カレーライスみたいだ。


『おかえり。早く着替えてご飯食べちゃいなさい!!』


家に着いたのは八時半過ぎ。


母さんの本音としては、早く洗い物を済ませて夜のドラマを楽しみたいのだろう。


『今着替えてくるから!!』


俺はそう返事をすると、駆け足で自分の部屋へと向かった。


部屋の扉を開けて、電気を付ける。


最近まともに掃除をしていないせいか、部屋が散らかっている。


唯一綺麗なのは、遥に手紙を書く机くらいだ。


俺はベットに乱暴にカバンを置くと、クローゼットを開けジャージを取り出した。


本当は先に風呂に入りたかったんだけどなぁー…。


そのとき、どこからともなく視線を感じた。