『御節の手伝いしてた…でも、邪魔みたいよ、私。きんとん作ってたのに』


電話の向こうで笑ってる。

『理沙…ちょっとだけ、会えないか?』

夢みたい…。彼がこんな風に誘うなんて。ちょっとだけ…なんて。


『うん…逢いたいよ』


私は、母にブツブツ言われながらきんとんを少しお弁当に入れて持ち出した。


家の近くに来てくれた彼の車に駆け寄ったその時だった。


反対側の道からクラクションがなった。


謙吾の車だった。