仕事をやめた。
母は泣いていた。父親のいない子を生む私を憐れんで。
母の実家で、おばあちゃんと二人で…妊婦生活を送った。
のんびりとした田舎の生活は私を優しく包んでくれた。
毎日連絡をくれる母が…
『今日も訪ねてきたわよ…男の人二人。居場所は教えなかったわ。』
胸が痛む。逢いたいよ。祐治。謙吾。
でも…逢ってはいけない。
私だけの赤ちゃんだから。
出産の時には両親も来てくれて…傍にいてくれた。
私は赤ちゃんを生む苦しみの間、祐治と謙吾の名前を呼び続け…余りの痛みに失神しながら…
やっと、やっと生まれて来てくれた私の子。
初めて胸に抱いて…涙がこぼれた。
強くならなくては。この子のママだもの。
元気に泣き叫ぶ男の子。
名前は祐吾。
私の祐吾。