「そういえば夢。

夢ってそんな香水持ってたっけ?」



お姉ちゃんの視線の先には準の香水があった。



「いや…。それ準の。

間違って持って来ちゃったんだ。
明日返す予定。」



お姉ちゃんはにやりと笑って言った。



「夢…まさか準に会う口実としてわざと……。」



「ちっ違うよっ!!」



私の慌てぶりにお姉ちゃんは大笑い。お腹まで押さえてるし…。



「そういえば洋が言ってたんだけどさ…。

準って女苦手でさ…彼女いないというかいたことないんだって!!」



へ―……意外かも。
格好いいのに…。



「夢…惚れたね。」



お姉ちゃんはまたにやりと笑う。



「ちっちっ違うよっ!!

初対面でいきなり好きになる訳ないじゃん…。」



「そうかな?」



お姉ちゃんは首を傾げている。



「別に好きになるのに時間なんて関係ないと思うけど……。」



私は言葉につまった。
反論できない…。



お姉ちゃんは微笑むと立ち上がった。



「じゃあ…夢。

私寝るね…。好きかどうかは自分に聞いた方がいいし。

おやすみ…。」


お姉ちゃんは部屋のドアを開けた。



「待って!!」



私は反射的に呼び止めた。お姉ちゃんは振り向いて不思議そうな顔をしている。


「あのさ…お姉ちゃん。

自分1人で抱えこまないでね?


泣いていいよ?」



お姉ちゃんは微笑んだ。



「ありがとう夢。

おやすみ。」



「うん。

おやすみ。」



そうして私は眠りについた。今日は長い1日だったな…と思いながら…。