「リシェナお姉さん!今日は何のお話をしてくれるの!?」

たくさんの子供がリシェナの周りを取り囲む。

リシェナが故郷を離れて8年。

家を飛び出し行くあてもなく、さ迷ったリシェナは教会に助けを求めた。
教会の管理人・マルスは若いころ娘を亡くし、娘に雰囲気が似ていたリシェナを快く受け入れ、教会の屋根裏にリシェナの部屋を作った。

リシェナは教会の様々な慈善活動を手伝い、すっかりこの港町になじんだ。

マルスの教会は遺児との交流が多く、リシェナは一人一人の名前を覚えてしまうくらいだった。

「ギンゼン、今日は君の誕生日なんだから、好きな本を選んで!」