屋敷の主


理不尽な環境のせいで、彼女は心から信用できる人がいなかった。

両親も農業が忙しいうえに、リシェナの姉妹の話を信用する。

リシェナが悪いのよ。
あの子はパパママの悪口を言ってるのよ。

そう両親に告げ口している姉を見て、リシェナは一晩中泣き続けたこともある。

目立たないようにしなくちゃ。

幼いリシェナが唯一考えた自己防衛策は、なにがあってもでしゃばらないことだった。

美しい青の瞳も人に見つめられるのが怖くなっていた。

目を合わせないようにしよう。メガネをかけるようにしよう。

金髪も目立たないように結んでしまおう。