「…っく…ひっく…」

泣きながら立ち上がるリシェナは、美しい金髪すら灰色に染まっていた。
泥だらけの格好で町を歩くリシェナを見て、ヒソヒソ話し声が聞こえた。

「やだぁ、ナヴェーラさんのお嬢さんじゃない?」
「すごい格好、ぷぷ」
「噂じゃ1番どんくさくて、性格も悪いんだろ?」

けっして、リシェナは性格が悪くない。むしろ、姉妹や同級生から冷たくされても、ニコニコ笑っていられる性格だ。