ジェイスは片目を失ったかわりに、他の五感は研ぎ澄まされていた。
学問・運動はおろか、何をやらせても1番だった。
ジェイスが士官学校の首席であったし、教官のミスを指摘し、そのせいで退職した者がいたぐらいだった。
士官学校でも女生徒が騒ぎ立てたり、告白してきたりしたが、ジェイスは特に興味を持てなかった。
むしろ、片目を失った自分よりも能力のない人間を、心の中で蔑むようになっていった。今周りにいる美しい姫君たちを見ても、全く心が動かない。
頭の悪い連中。
金があれば寄ってくる。低俗な恥知らず達。
葡萄酒をまた一杯飲み干し、ジェイスは腕に触る姫君を振り払い、広間をあとにした。
