屋敷の主


今まで何も言わなかったマルスが、小さい声で泣いた。

「すまない…」

リシェナは涙が止まらなかったが、笑ってみせた。

「私はあなたの娘よ!何があっても愛してます」
リシェナはルートスの方へ近寄り、睨みつけた。
「私を煮たいの?焼きたいの?」

ルートスは目を丸くしたが、ニヤニヤ笑い出した。

「そうだなあ、お前の全てを食いつくしたいね」
鋭い灰色の瞳にリシェナは悪寒がして、目を逸らした。