「はぁ…はぁ…」呼吸が荒くなる。


教室の前にたどり着いた。

足がすくむ。ドアが開けられない。

《やっぱりダメだ!!戻ろう!!》

教室の前から去ろうとしたとき、頭の中でさっきの高橋君の声が響く。


――――『信じろよ。』



――――『後ろ見て歩くな。』


そうだ…前見て歩く。そう決めたんだ!

目をギュッと閉じて、教室のドアを開けた。


ガラッ――

「え…『LIR』!?」

「『LIR』だぁ!!何で何で!?」


私は自分の席に向かう。
その途中、高橋君の方をチラッと見ると私にピースサインを向けていた。


「あ…えっと、こんにちは。LIRです。」

「喋ったぁ!!」キャーっと歓声があがる。

《私だって喋るんだけどなぁ…》

苦笑いを浮かべながら話を進める。


「えっと私はLIRですけど、このクラスの杉田 美香でもあります。」


「え…?LIRが杉田さんってこと!?」


「隠してて…ごめんなさい!」
私は深く頭を下げた。


教室はシーンとしている…。