何か言い出そうとした時、少女は何も言えず、座り込むヤナを見て思わず吹き出した。

「あははははっ」

「なっ!何が面白いのさ!?」

お腹を抱えて笑われ、赤くなりながら怒鳴った。


笑いをこらえ、少女は涙を拭いて言った。



「いい人に出会えてよかった」


「は?」



ヤナは目を点にして声を発したが、少女はホッとした笑みをこぼした。

(これで私は…)

安心すると涙が出てきそうだったが、それはヤナの投げかけで止まった。

「だから、どうやってここに入ったのって聞いてるの」

「え?…ああ」

少女は思い出してからあっさりとした口調でヤナに教えた。


「だって鍵、開いてたよ?」


それを聞いてはっとヤナは思い返した。


(そういえば…鍵をかけた記憶がない…………)

とことん駄目な自分に、怒りどころか悲しみを覚えた。