ヒノトの気迫が恐ろしかった。

(あの人は、何をするか分からない………)

そんなこと会った時から分かっていたのに、改めて心を硬直させられた。


ふと震える両手を見つめる。

「…っこの手でユラを救うことができるのだろうか?」

さっきからそれを自分の中で自問自答していた。

「大丈夫……大丈夫っ…」

おまじないのように呟いて、自分をさする。

現実逃避に近い状況に自分でも気付かなかった。


「ヤナ、生きてる?」

平然としたトーンで開いたままの部屋に声をかけたのは、少し疲れ果てた様子のミグレだった。