暫く歩いて着いたのは、市内でも大きな病院。




先々進んで行こうとする秋先輩に言う。





「秋先輩、場所分かってるの?」





スタスタ中に入ろうとする秋先輩が急に立ち止まる。





「ん?…あっ、知らんわ。」




…………。





「じゃあ中入って聞きます?」





呆れながら聞くと、秋先輩はさっきのことを誤魔化しながら、早足で中に入りながら言った。





「あ、あぁ、俺もそう言おうとしてた所やねん。」





目が泳いでる秋先輩を見ると、明らかに嘘だと思うけどね?





「秋先輩、目を泳がしてないで、早く行きましょ?」





私がそう言うと、





「泳いでへんわ!そないな事より、早よ行くで!」





そう言った秋先輩は、私を引っ張りながら病院へずんずん入って行った。





「被害にあった人の名前は分かってますよね?」





歩くスピードがゆっくりになった秋先輩に聞く。





「あぁ、それは分かんで〜☆ほら、ここに書いてあるねん!」





そう言って秋先輩は奏先輩から貰った書類を見せてくれた。





「山…田、一郎……凄くありふれた名前に近いですね…」





私がそう言うと、秋先輩も続けて言った。





「まぁ、少し面倒な奴って聞いたんやけどな…」





顔を苦くさせながら言った。





「へぇ、そうなんですか。」