「ねーねーちょっと?」


つんつん、と誰かの指が俺の背中を押した。

後ろを振り返ると…


女子。


「…何…?」


そっけな!

俺、そっけな!


さすが不器用男、明瞭謡。

はぁ…友達できる気がしない。


「ね、ね♪
あたし…姓花音!
よろしくねぇ~」


『姓 花音(カバネ カノン)』…?


こんな無愛想な俺に、よく話しかけれたな。


「…よろしく…」


おいーっ!

またしてもそっけない!

折角話しかけてもらえたのに。


「君は?
なんて名前?」


あんだけそっけない態度とったのに、
普通に話進めてくるなんて…


変な女。


「め…明瞭…謡…」


「謡ー?
なんか可愛い名前だし、音楽系ぽい名前だよね?
音楽好きなの?」


「…ベース…」


いや、「ベース」だけじゃわかんねえだろ。

ベースしてるって言えよ、俺。

っつか、自分でも思うけど一人ツッコミ激し!


「ベースしてんの!?
嘘ーッマジで?
やったー!
声かけて正解っ!」


…?


異様に喜んでる。

なんで?


「あたしさぁ、隣のクラスの、
翡翠奏楽っていう…あ、幼馴染なんだけどぉ!
そいつとバンド部作ろっていってて…
よかったら入ってくれない!?」


『翡翠 奏楽(ヒスイ ソラ)』?

知らねえ。

まぁ今日入学式だし、当たり前か。


まぁその翡翠奏楽ってやつと、この変な女がバンド部ってやつを作るんだよなぁ?


それってさ、音楽系の部活だよな。

朝宙音と言ってた!