「はる、気をつけてね…!いってらっしゃい!」
「陽介ー!手ぇ出すなよー!」
「…靴を口につっこむぞ」
「生意気言ってすいませんでした!」
勇一郎にそう返した後、立花を見る。
きょとんとした表情で俺を見つめている。
……目、でかいな。猫だ。
「どこ行くんですか…?」
「……着いてからのお楽しみ、だな」
「っ!………ふふ」
「どうした?」
突然笑い出した立花に、俺は顔を覗き込む。
すると、至近距離で照れたのか「わあ!」と立花は声を上げた。
笑ったり、驚いたり…忙しい奴。
「や、その、相良先輩、が、そんな事言うの可愛いなーと…」
「……それ、」
「え?」
「相良先輩、はやめろ」
「え、じゃあ…」
「陽介で良い」
「……陽介、先輩。じゃあ、私もはるで良いですよ」
呼び捨てで良いんだが…。
まあ良いか。
「はる」
「ふふっ」
「…車を呼んである」
「え?」
携帯で運転手を呼ぶと、すぐさま目の前にいつも乗っている黒の車が止まった。
「凄…!」
「あ?」
「あ、いや、」
「早く乗れ」
車のドアを開け、はるに乗るよう促す。
はるは「失礼します…」と言いながら恐る恐る車内に入る。

