「なんでだろぅ・・・」


鳴海が下を向いて小さくつぶやいた。
俺は聞き取れず、
「えっ?!」と聞き返してしまった。


「どうして、鳴海には勝てねぇんだろう。」


鳴海は不思議そうな顔で健也を見ていた。
もう、
いいよ。健也・・・。
お前はもう、
十分由井に気持ち伝わってるよ・・・
聞いてるのがだんだんつらくなってきた。



「どういう意味?」


鳴海が思わず聞き返していた。
俺は止めようと思ったが、
止めるのが間に合わなかった・・・。


「俺は鳴海に勝てない。絶対に・・・。」


うつむいていたが、








泣いているのが分かった。












「もういいよ、健也。」



やっと口が動いた。
そして、健也は教室のドアをあけ廊下にでた。


ーガラ

ドアをあけると由井茜がいた。

「あっ」


素通りしようと思ったが、
由井に「ねぇ」と呼びとめられた。
振り返ると同時に話し始めた。


「鳴海くんってさぁ、、、、」




顔を赤くしてうつむいた。


俺はこの瞬間なにが言いたいのかすぐに分かった。