でも言えなかった。

特に<親友>のサエにだけは言えない。
絶対に。

だって、<あんなこと>を優しいサエに話したら―――

サエの心が壊れちゃうよ。

<不幸になるのは私だけで十分>

ワタシはもう一回、自分にそう言い聞かせた。

そんな私の頭の上で、

「―――キミ、椋鳳(りょうほう)高校の子だよね?」

って声が突然響いた。

ワタシは急いで顔を上げる。

そこには。

三人組の不良っぽい男たちがワタシをニヤニヤしながら見てた。

「暇だったらオレらと遊ばない?」

ピアスをつけたヤツがそう言いながら、ワタシをじろじろ見まわした。

いやらしい目つきで。

<サイアク>

ワタシは心の中でつぶやいた。

全部、夢だったらいいのに。

―――いや。

夢にしたって、悲しすぎるよ。

<悲しい夢>

逃げ出したい。


(第二章に続く)