「…俺帰るわ」
「えっ!」
佐々礼くんが立ち上がったと同時にあたしも立ち上がった。
「ちょっ、ちょっと待って!反省文は?」
「家に帰って書いてきますって言っといて」
「え、」
えぇええぇぇ…。
眉を下げて佐々礼くんを見ていると、佐々礼くんはまた少年のように笑った。
「犬みたいだな、お前」
「…はぁ!?」
(何を言う…!)
今度は目を丸くしていると、佐々礼くんはスタスタとこの場から去った。
「い、犬って…!」
ほぼ初対面なのにあんなこと言われるとは。
―――でも、
でも、あんなに同級生と話したのは久々だな。
と、不覚にも思ってしまった。

