慶の思いを知って、ちゃんと向き合えばよかったって思った。


でも、もう遅い――慶は家を出て行ってしまう。


友達も、好きな人も、慶も一度にいなくなっちゃった。



「萌、俺の気持ちは変わらない。それだけ伝えたかった」


「ありがとう。ちゃんと慶と向き合えればよかったね」


「俺も、ホント子供だった…、早くモノにしたくて焦ってたしね」



慶がバツが悪そうに笑った。つられるように私も笑った。