「アリスは、
忘れたほうが良いかもしれない」


「忘れる?」


「そうだ」



「何を…?」



「…全部…だ。」



「そ、そんなの嫌!!
忘れたくないよ!」


どうして忘れなくちゃいけないの
私は、忘れたくない

帽子屋さんも、チェシャも

皆…。


「大丈夫だよアリス。
いずれまた会えるよ」


「絶対?」

私の言葉に
困ったような顔をするチェシャ


「…絶対……だよ。」

そう言って
私を抱き締めるチェシャ


帽子屋さんも
私達二人を抱き寄せた


「じゃあな、アリス。
また会おう。」


帽子屋さんが私の額に手を当てる


「チェ…シャ、帽子屋さ…」


そこで記憶は途切れる

きっと私のいた世界に
とばされたんだと思う