「帽子屋も!
目ぇつぶってて!!
絶対あけんなよ!!
んでそこから動くな」



「…おい猫。
お前まさか…?」


「いいから早く!!
俺らが死ぬよりマシだ!
俺は絶対アリスを守る!!

アリス。目を閉じて
絶対あけちゃダメだよ?
わかったね」



私はワケもわからずうなずいた

そんな私達の会話を聞いて
勘付いたジャックが
王と女王のもとへと
走っていく姿が見えた


それから私はギュッと目を閉じた


それから帽子屋さんが
「やめろ!!」と
何度も叫んでいたのを
私は覚えている




ジャックが王と女王に
「目を閉じてください!!」

と、叫ぶのが先か


チェシャが

左手首の包帯を解くのが先か



目を閉じていた私には
わからない。




「―アリス、もういいよ
目をあけて……」


そのあと
チェシャが少し震えた声で
ごめんね。
と、つぶやいた気がした