―幸い
チェシャが止めたのは鎌の柄で
深い傷はなかったけど


少し刃がかすったのか
手から血が流れていた



その鎌の持ち主は…

頭から黒いうさ耳を垂らした少女



右目には包帯をぐるぐると
巻き付けている


チェシャがグッと柄に力をこめて
少女を跳ね返した


ズザザッと煙を上げ
地面に着地するその少女は
チッと舌打ちをして


「…やっかいな猫め…
時間無いんだけど」。


と皮肉をこめて言った