「真由……」
「だけど、今度は違うと思うの。まだ告白もしてない状況でそんな事言ってても意味無いんだけど、今までよりあたし、本気なんだ」
真由はそう言って時計を見上げると、今日は仲直り記念にどっか寄ってこ!と笑顔を見せた。
真由にもう何も言えることはないのかも知れない。あたしはそう思った。
もしも、真由が傷付いたとしても、今度こそうまく行ったとしてもそれは、真由が自分の想いに正直になって出来た事だと思うから。
でももしも、うまく行かなかったとしてもそん時はカラオケで歌いつくそう、と。
「うん。そうしよ!」あたしは笑って頷いた。
応援しょう、飯田の事。
そしたら何か始まるかもしれない。
しみじみと思いに耽っていると
「あ、放課後告っちゃおっかなぁ」と小声で茶化して真由が呟いた。
「ハァ?何それ――!!あたしせっかくしみじみしてたのに~!」
胸に遣えていた一つモヤモヤが抜けて、溜め息ばかりの数時間前が笑い声に変わっていた。
キャッキャッと少し騒がしい笑い声が教室のざわめきに響く。
いつものあたし達が帰ってきた気がした。