女王様と王子様

「見たことないの?」

「はい」

「食ったことも?」

「ない、…かな」


お母さんと潤の問いかけに首を傾げる藤臣。

マジでありえない。
キンピラ食べたことないとか…


『じゃあ一体何食べて過ごしてるのよ』


まあ、きんぴらごぼうが料理の代表というわけじゃないけど。
参考程度に聞いてみた。



「洋食が多いかな」

「オシャレなお母さんなのね」

「いえ、作ってくれてるのは母じゃないんです。料理や家事はほとんど美代さんが…」

『みよさん?』

「住み込みの家政婦だよ」


……かせいふ?
かせいふって家政婦?家政婦は見たでよく出てくる…


『家政婦なんているの!?』

「うん。変かな?」

『絶対 変!』


っていうかどんだけ金持ちなのよ!
文武両道で金持ちのボンボンだなんて…本当どこまでもムカつく奴…!


「ふじおみの家、なりきん なのー?」

「実咲、金持ちイコール成金じゃねーからな」

「このあたりにそんな大きなお家あったかしら…」


どうでもいいことに考え込むお母さん。
藤臣は「そんなに大きくないですよ」と苦笑した。