先に言っておく。



私は可愛い。

色素が薄い肌と髪。長い睫毛、二重の瞳。
それはスタイルにも言えることで、太くなく細すぎでもない長い手足にしまったウエスト。
繁華街を歩けばナンパなんて日常茶飯事だ。


「山本さんが好きなんだ。付き合ってほしい」

『私、あんたに興味の欠片もないから』


そして、


『でもま、この私に告白する度胸は認めてあげるわ』


私は自分の容姿について、隠すつもりも黙ってるつもりもない。

場所は廊下のど真ん中。
始業式も終わり、帰ろうとする生徒で溢れかえっていた。

…馬鹿らしい。他人の目があれば私が断りずらいと思ったわけ?
言っておくけど、私はそんな気を遣うような女じゃないから。


『…見物料とるわよ』


廊下にいた生徒の視線は全て私と告白してきた奴に降り注がれていた。
私はそれを一睨みすると、呆然とした男をすり抜ける。


「すごいね 山本さん」

「この間は他校の人から告白されてたって」

「まぁ あれだけ美人じゃねー」


周りの人間にも、もちろん家族にも可愛がられて育ってきた。
見た目が良ければ得する世の中なのだ。