あたしの耳に、冷たい感覚。



聖也は、泣いてるの?



「一緒にいてぇ…」



 涙声で聖也は言った。


あたしは、聖也の涙をぬぐった。



この綺麗な瞳も、鼻筋の通った顔も…長い指も…


絶対忘れない。



 忘れなければ、またいつかきっと出会えるよね?



「聖也、あたしのこと…



忘れないでね」



 そう言って、あたしは聖也の背中に手を回した。



「忘れない。



何があっても……



姿形なくなっても…」



 聖也の声は聞こえるけど、もう姿はどんどん薄くなってく。