そっと、聖也があたしの肩を抱き寄せた。



 イヤホンが耳から外れた。



白のダウンから、聖也の心臓の音が聞こえてくる。



ドクンドクン…って。



ほんとは、幽霊なんかじゃなくて、生きてるんじゃないの?



聖也の温もりも、息も感じる。



こんな幽霊いるの?



「どこにも……



どこにも行きたくない……」



 耳の奥まで、ちゃんと聖也の低い声は響く。