けたたましいアラームの音で目が覚めた。


すぐ目の前に先生の寝顔があって驚いたけど、昨晩ここに、自分から転がり込んできたことを思い出す。


私は掛け布団から腕だけ出し、アラーム音を響かせる先生のケータイに手を伸ばした。


学校が休みの日の先生は、いつも定刻に起きない。眠りたいだけ眠ったあと、目を覚ます。


ベッドの中の暖かい空気が抜けないように、静かにベッドから出た。そしてキッチンに向かい、ホットミルクを作る。


先生には、牛乳を飲む習慣はない。だけど私がここに住むようになって、冷蔵庫には牛乳が常駐するようになった。


そして私は、パンケーキを焼く支度を始める。これは私用だから、一枚だけ。先生はトーストを食べる。


パンケーキにバターを乗せ、電子レンジからホットミルクを取り出し、テーブルの、パンケーキの皿が乗った隣に置いた。


外は、生憎の雨。私は一人ぼんやりと、窓の外を落ちる雫を眺めながらパンケーキを食べた。


ここはマンションの九階。静かだった。空から落ちてくる雨粒だけが、時間の流れを教えてくれているような気がした。