ブラッツ




「意味分かんねえんだよ!!何なんだよてめぇは!!」


ぐぐっと少女を掴む手に力が入る。


ムカついた。

物凄く。


なんでコイツがそんなこと知ってるんだろう。


「あたしは暴走族、てっぺんの親父の子。あんたの親父を脅してた親父の子だよ」


淡々と告げる。


「んで、あんたはあたしの親父に殺されちゃうわけ。あんたの親父の代わりってやつ?可哀相ね、とばっちり」


感情一つ無い、無機質な声で。

ただ淡々と、感情を変えずに。




少女は携帯をパタンと閉じ、顔を上げ、




「だからあたしが助けたんでしょ?」




一気に手の力が抜けた。



「まあ、ちゃんと言えば、あんたがあたしを誘拐したことになるのかな」


少女は少年の目を見つめる。

睨んでるんじゃない。

なぜか目が離せなくなる。



「ゆ…誘拐って…」


戸惑った。

そんな設定なわけ?