「…王子…
引き時は肝心ですよ…」

ムーントレイの
呆れた声が聞こえる。

オレはコントローラーを手に
唸っている。

「そのように唸られても
負けは負けです」

「…もう1度だ…」

ムーントレイを無視して
TV画面上の"再戦"
を選択する。

「でわ、最後ですよ…
勝者が敗者を1週間
自由に出来るという条件素直にきいて下さいね」

自分が絶対に勝つという自信がある彼は
クスリと笑う。

「もっ、もちろんだ!
今度こそオレが勝つしぃ!」
自信は…無いに等しい。
何て言っても…
8戦中7敗している。

けど…引き下がれない。

あの条件を出したのは
オレの
たった1回の勝ちの後…

だから…

「楽しみにしていますよ。さぁ、
はじめましょうか?」

意地悪な笑みを浮かべて画面を向いた。