ココはとある
平和で裕福な国。



「おはようございます。
王子」

低くて甘い声が
耳元で聞こえる…。

「ん~…まだ眠い」

布団の中に潜り込み、
再び深い眠りに着こうとする。

が…

「王子、
早く起きて下さい。
本日は
イーグレット第1王子様が
来られます」

すぐに布団を剥がされてしまう。

けど、まだ眠い。

今度は猫の様に
丸くなってやる。

すると、耳元に何かが
近付く気配がして…

「ウォルフェンツ、
早く起きなさい。
それでなければ
昨夜の続きを
昨夜以上に濃厚に
今からする…
大好きな兄と
逢えなくなる…
くらいにな…」

先程とは口調も態度も
異なる
低くて甘い声…

「ムーントレイ…
それだけは…
ヤダ…」

上体を起き上がらせ、
彼を見つめる。

「それは残念。
…おはようございます
王子」

当たり前の様に近付く
口唇を手で静止する。

「王子?」

「…執事のお前に
されたくない…」

クスリと笑う声が
俯いたオレの耳に入る。

「本当に可愛い…
おはよう、ウォルフェンツ…」

甘さに深みのかかった
声と同時に口唇が
近付く。

今度は、
瞳を閉じて受ける。

触れるだけのキスから、
舌を絡めるキスをして、
力が抜けてしまった。