♂蓮



全てを話終えた桃華は、泣きたいけど泣けない、と言う顔だった。





「蓮に比べたら幸せだよね。って、全部あたしが悪いんだけどね。」






こいつはバカか。





こんなに傷ついてるのに、誰かと比べて幸せなんて…。





桃華が傷ついたなら、暗すぎる過去だ。







泣かない桃華を見て、俺は抱き締めたくて仕方なくなった。






「なぁ、桃華。」

「ん?」

「なんでみんなに優しくする?」

「なんで…かな。でも、あたしは蔑まれた分、あたしと同じ人を作りたくない。…思うの。あの時、1人でも話せる人がいればなって…。」





優しすぎるだろ。




自分のことだけを考えることが出来ないから、桃華は傷つくんだろーな…。





強く見えて、弱いんだと思う。





俺は、桃華を守りたい。





素直にそう思う。