♂蓮




「もう大丈夫!ありがと、蓮。」

「ん。」





桃華はすぐ強がる。




奈留にも要にも。




泣こうとなんかしないし。





だから俺が気づいてやりたい。





守りたいから。






「やっぱりさ、匠くんみたいな人の方が珍しいよね。」

「だな。」

「あの子…陽ってゆうんだけど…見た目は大人っぽくなってたけど、あたしを見る目は変わってなかった。」

「あぁ…。」

「自分の記憶、消せたらいいのに。」





切なく笑った桃華。




きついことはわかる。




だけど、もともと口下手な俺はうまく喋れない。





だから、桃華の手を握る。




「蓮…?」

「俺が…。いや、違うか。」

「え?なにが?」

「うまく言葉に出来ねぇな…。」

「なにそれ?」

「うーん…。」




仕方ないから行動で表す。




俺は桃華にキスをした。





「察した?」

「全然。」

「まじか…。」

「でもほっとした…。」





そう言って抱きついてきた桃華を見て、安心した。