放課後。
いつものように壱の家にいく。

「壱?」
ドアを開けて中に入ると、壱は寝ていた。
傍には.......綺麗な女の人。

「あぁ、明日香ちゃん?」
綺麗な人は綺麗な声で、なぜか知っている私の名前を呼ぶ。

「壱の原稿とりにきたんだけど、寝ちゃってて。また、明日くるわね。
 壱にいっといて。バイバイ。」

そう言って彼女は部屋を出て行った。

”壱”

彼女の言った言葉に、心の中に黒い渦がまく。

私ですらなかなか呼ぶことのできなかった彼の名前を、彼女はなんなく呼んだ。


苦しかった。

しばらく壱を起こさずに座っていた。
この、黒い気持ちを抑えるために。。。