君の手。僕の手。


気づけば先輩とメールし始めて一週間。

あっという間に噂が広まり女の先輩に目をつけられ毎日痛いほどの目線を感じていた。



「璃香ー!」


振り向くと先輩がいた。


「璃香、今日1人?」


「うん」


「一緒に帰るか!」


「でも…」


後ろに見える女の先輩の目線が痛い。


「行くぞ」


そう言って先輩は私の手をぎゅっと握って歩き出し、つられるように私は先輩の後ろを歩いた。


「なんなんあれ」


女の先輩たちの声なんか気にせず先輩は私を引っ張る。


ザッと吹いた生暖かい春風が私の心を熱くさせた…。


ねぇ先輩。

人を好きになるってこんなに簡単なことなのかな。

先輩と話していると楽しくて…


だめだめ。

好きになったらだめ。


だってまだ何も知らないんだけん。

先輩ってことと名前と家ぐらいしかわからないんだから。

いや、先輩が私に気を持つわけないじゃん!


頭の中がパンクしそうなぐらいたくさん考えた。

考えていたら何を話していたのかわからなくなっていて…