携帯を震えた手で持ち番号を探した。

"龍也"

受話器ボタンを押す…

プル…ッ…プルル…ッ…


何十秒待っただろうか


龍也はなかなか電話に出なかった。

「…龍…也…ッ…」

泣きながら震えながら必死で声を出した。

「もしもし!ごめん!気付かなかった!どうした!?」

龍也は大声で話していた…周りからはバイクの音が響いていて…

「助け…て…」

「えっ?!何?!」

震えて声が出ない…

「龍也…龍也…っ…」

「今どこ?!」

「わかん…なぃ…暗い…山…?…何か誰もいなぃ…」

「何かわかりやすいのない?!」

周りを見渡し目立つ物を探した…
近くの木を掴みながら震える足を立ち上がらせた…

「お墓…がある…」

「墓?!どこだよ?!墓何か近くにあったか?!」

「助けて…ッ…」

「お前そこから動くなよ!わかったや!」

「ぅ…ん…」

「電話切るから!いいな!」

「わかった…」

震えながら電話を切り崩れ落ちるように座り込んだ…服は乱れ体中から異様な匂いがした…

寒い…

体は恐怖と寒さで震えてる…

龍也…早く…早く来て…怖いよ…

龍也が迎えにくるのを待った…動くなと言われその場に座り込んだまま一歩も動かなかった…というより動けなかった。