いつだって、君はそうだった。



小さい身長に悩む私。



小さい、小さい、と言って、周りから虐められた私。



だから、私は、意地を張っていた。



“小さくたって、良いことはたくさんあるんだ!”



そうやって、思っていた。



……ただ、思い込んでいただけなのかもしれない。



『そんなことして、お前ら、楽しいのかよ!』



運動神経も、普通。



頭も、凄く良いってわけでもない。



だけど、音楽が大好きな君。



一つひとつの仕種が、格好良かった君。



身長が、私よりも、ずっと高くて。



君は、周りの目も気にせず、私を庇ってくれた。



皆に対する優しさは、私に対する優しさ。



彼は、贔屓したり、偏見をもったような目で、決して人を見なかった。



強かった。



『なんで、そんな奴庇うんだよ!』



私は、この時まで、彼は良い子ぶっているんだと、ずっと思っていた。



『だって、おかしいだろ?
身長が低いからって、虐めるのは。
だったら、お前はデカすぎだ!』



私を虐めていた、長身の男子に、彼は言ってくれた。



『虐めて良い理由なんて、この世に無いだろ』



私の――皆の心を、強く揺らした。



良い子ぶっている感じが、全くしない。



眉を顰めて、真剣に言うんだ。



自分の友達にも、関わらず。



普通、良い子ぶっているだけの人は、そんな勇気が無い。



寧ろ、一緒になって虐めるのに。



ましてや、中学生なんだし。



『良い奴ぶんなよ』



『悪いかよ。
虐めなんて、低レベルなことしてるお前らより、よっぽどいいけど』



挑発のように、君が発した言葉。



それは、君からの、宣戦布告だったんだね。



私のために、そこまでしてくれた。