「・・・寧々?」


「あ・・・」



空の部屋にいたんだっけ


「どうした?」


「ううん、なんでもない。」




仕事が早く終わる日

空の部屋にいることが多かった





一緒にTVをみて

一緒にご飯を食べて

一緒に笑って



今までと変わらなかった




ただひとつ


肩がぶつかる距離にいること以外は。




「寧々。」



空の呟きが近くなると

自然と唇が重なる



キス




空とキス。





「ん・・・」



いつもより長いキスに
翻弄される




ゆっくり離れた唇で
空は言った


「この先進んでいい?」




「え?」


ドキンと心臓が跳ねる



「だ、だめ!」



「なんで」



「だって、だめ!おばさんいるし。」



ハッと気付いて肩を落とす空




習い事でいるはずのないおばさんが

今日に限ってお休みだと言っていた。