兄貴の言う通りだった。


寧々の泣き顔を見てるのは
辛かったんだ。




ーーー「寧々を守ってやるんだ」ーーー



「は?」



「小学校の時、たった一度お前が俺に言ったセリフだ。
忘れたのか…?」


俺は必死で記憶を探る



たしか…
寧々がいじめられて泣いてた時



やり返してくるといった兄貴に

俺は言ったんだ



「言ったな…」



「あの時もう…空は寧々が好きだったんだろ?」



え…




好き?




寧々を?




「なんだその顔。

自分の気持ち、知らなかったのか?」

兄貴は大袈裟に笑った



「俺は昔から気付いてたぞ?」


は?



「なにいってんの?そんな訳ないだろ。寧々は大事な幼なじみだよ。」


そう

そうだろ?


そう思ってきたんだ



「いつまでも子供じゃいられないんだよ。
幼なじみってだけじゃずっと一緒にはいられないぜ?

いつか寧々が結婚したら会えなくなる。
一緒にいることが当たり前じゃないんだよ」



わかってるよ



そんなの当然だろ




だけど…
今近くにいるから

これがずっと続くんじゃないかと
当たり前のように思ってたのも事実だ




近すぎて

考えもしなかった…




「まぁよく考えてみな。
じゃぁな、俺は仕事あるから。」


そう言って
兄貴は出ていった





俺は



寧々を




好き…なのか?



自分の気持ちなのに
わからなかった



なんで兄貴が
あんなこと言えるんだよ…



考えても出てこない答えに
無性に腹がたった