「こうやって、ゆっくり話すの、初めてだな」
イライラしているあたしを余所に、話を勝手に進めている和真。
こいつ…超イライラするっ。
正直言って、ダルい…こういう男。
寒さと和真に耐えられなくなったあたしは、
「用件を話さないんなら、帰るわ」
返事も聞かずに、校舎へと足を進めた。
「おい」
後ろから、この空気のように冷たい声が聞こえてきた。
「待てよ」
ゆっくりとあたしに近づく音が妙に大きく聞こえた。
「俺さ…」
少し震えた声で、背中越しに聞こえてくる声。
「俺……」
俺が何?
早く言ってよ。
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