そういえば、終業式が終わったから、中庭に行かないと。
だるいなぁ。
あたしは美菜に合図をして、1人で教室を出た。
吐く息が白く、切れるような風が、体温を冷やしていった。
「ったく、何なの。呼び出すなら、室内でいいじゃんかっ」
この場に及んで文句が言える分、いつものあたしらしい。
小さく一歩一歩歩いていると、目の前に
寒そうに足を震わせて、ベンチに座っている和真の姿があった。
ガリッと石の踏む足音が和真の耳に届き、こっちをゆっくりと振り向いた。
「遅ぇよ」
一言目から上から目線な言葉を吐き、あたしに近づいてきた。
こういう俺様っぽいとこ、嫌いだ。
「で、何?」
さっさと用事を済ませてほしかったから、和真を無視して本題を聞いた。
「ちょっと話さねぇ?」
そんなあたしの言葉を無視して、自分の会話を進めていく。
何なの、和真って…。
ここに呼び出したくせに、『遅い』って言って。
本題を聞いたのに、話を逸らすし。
和真の考えてることが分からない。


